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第1回研究会 2018/10/20 福岡市科学館

福岡物理サークル第1回研究会が福岡市科学館で開催されました。

教職を目指す大学生や中学・高校・大学の教員、物理や物理教育に興味のある方々、合計31名の参加で大いに盛り上がりました。

​今回は4つの発表がありました。各テーマは以下の通りです。

 

  1. コンデンサーの性質(兵庫教育大学 猪本さん、佐賀県立三養基高校 龍頭さん)

  2. 等電位線を確認する実験の一考察(長崎県立壱岐高等学校 緒方さん)

  3. 動画像解析ソフトを用いた物理実験(福岡工業大学 甲斐さん、神園さん)

  4. 遠くのものは小さく見える(早稲田大学高等学院 小川さん)

1.コンデンサーの性質(兵庫教育大学 猪本さん、佐賀県立三養基高校 龍頭さん)

コンデンサーの充電によりその性質を理解し、得られたデータからコンデンサーの電気容量などを求める実験です。

コンデンサー(3,300μF)と抵抗(10kΩ)と単3乾電池2個(3.0V)を直列に接続します。回路の作成にはブレッドボードを用い、生徒実験でも行いやすいよう工夫されていました。

コンデンサーの充電が完了するまでの抵抗にかかる電圧の時間変化を測定して「電流i-時刻tグラフ」を作成し、その面積から充電された電気量Qを見積もります。より確実な測定の方法などについて、活発な議論が行われました。

​さらに片対数グラフで「規格化された電流i/i0-時刻tグラフ」を作成すると、その直線の傾きからコンデンサーの電気容量が求まります。

2.等電位線を確認する実験の一考察(長崎県立壱岐高等学校 緒方さん)

​100円ショップなどで簡単に手に入れられる道具を使って電位を測定し、実際に等電位線を作成することで理解を深める実験です。

まず、一様な電場を作ります。ボードに黒色画用紙を重ねて目玉クリップで固定し、目玉クリップに導線をつなぎます。このとき、黒色画用紙が導体、目玉クリップが平行電極の役割を果たします。今回電源は乾電池で9Vとしました。テスターで黒色画用紙の各点の電位を測定し、同じ値が得られる場所に色鉛筆で印をつけていきます。一様な電場に対する等電位線が得られます。

次に、点電荷がつくる電場を作ります。目玉クリップを外してネオジム磁石を固定し、ネオジム磁石に直接導線をくっつけて点電荷を再現します。あとは先程と同様にして各点の電位を測定することで、点電荷がつくる電場に対する等電位線が得られます。

​3.動画像解析ソフトを用いた物理実験(福岡工業大学 甲斐さん、神園さん)

動画像解析ソフトを使って物体の運動をリアルタイムでデータ化する実験です。福岡工業大学の学生さんによる発表でした。

振り子をウェブカメラで撮影しながら、動画像解析ソフトでその運動の座標を測定していきます。(はじめに登録した振り子の球の画像の動きを自動で追いかける仕組みです。)データをエクセルに出力しグラフに変換すると、きれいな正弦曲線が得られました。

また、ばねはかりにおもり(小さな手提げ袋)を付けての単振動で同様の実験を行いました。他の参加者に体験してもらいましたが、おもりが回転してしまい思ったようなグラフにならないなど、実験の難しさが伝わってきました。物体の大きさや色などこのソフトを活用する上での注意点を考えさせられ、非常に参考になりました。

4.遠くのものは小さく見える(早稲田大学高等学院 小川さん)

中学校理科で学ぶ「虚像の作図」から「ものの見え方」について、授業での実践などを踏まえて様々な視点からお話いただきました。

例えば「全身を映すのに必要な鏡の大きさは?」という問いはよくありますが、「鏡が小さすぎて自分の顔の全体が映らない!どうしたら全体が入るかな?」と問いかけます。実践例では、生徒たちに手鏡に映る自分の顔をマーカーでなぞらせることで、手鏡を近づけたり遠ざけたりしても鏡に映る自分の顔の大きさは変わらないということを体験させ、問いにアプローチしていました。

またルネサンス期の絵画などでよく見られる透視図法を理科と結びつけ、美術の先生と協力して絵を描かせたという例も紹介されました。その際に使われた装置は工夫して作られており、こちらも大変参考になりました。

最後は自由に意見交流をしたり、各テーブル代表者が感想を述べるなどして、大盛況に終わりました。参加者の皆様、ありがとうございました!

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