福岡物理サークル
第2回研究会 2019/03/27 西南学院高校
福岡物理サークル第2回研究会が西南学院高校で開催されました。
今回は7名の参加で、和気あいあいとした自由な雰囲気で議論が弾みました。
今回は2つの発表がありました。各テーマは以下の通りです。
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光電効果の実験(西南学院高校 柴崎さん)
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放物運動教材の工夫(福岡女学院高校 落合さん)
1.光電効果の実験(西南学院高校 柴崎さん)
まず、箔検電器の実験から行いました。電気がゼロの状態の箔検電器の金属板に、紙袋入ストローをテープで固定します。このとき紙の方端を事前にちぎっておきます。ストローを紙から引き抜くと紙とストローとの摩擦による剥離電気が生じ、紙が正に(ストローは負に)帯電するため、箔が正となって開きます。
箔検電器の実験にはよく塩ビパイプを用いますが、帯電させるときはティッシュをパイプの先端から中心の方向へこすると良いそうです。そうすることでパイプに溜まった電気が体を通じて逃げにくくなるとのこと。
正に帯電した箔検電器にプラズマクラスターを当てると、開いていた箔がゆっくりと閉じていきます。プラズマクラスターから出ている陰イオンにより、箔が電気的にゼロに近づいていくと考えられます。プラズマクラスターの代わりにイオンドライヤーでも同様の実験を行うことができます。ちなみに、実験者の体が帯電していたりすると、箔が閉じないなど上手くいかないこともあるようです。
ここからが光電効果の実験です。光電効果とは、金属に紫外線など短波長の光を当てると電子が飛び出す現象のことです。負に帯電した箔検電器にブラックライトの光を当てています。金属板の上により仕事関数の小さいアルミ板を乗せることで電子が飛び出しやすくなり、箔が閉じていく様子から光電効果を確認することができます。
ブラックライトの代わりに殺菌灯を用いると、箔はすぐに閉じます。殺菌灯から出る紫外線の方が波長が短くエネルギーが大きいためです。殺菌灯から出る紫外線を直視すると目に良くないので、殺菌灯本体をダンボールで囲う工夫をしています。
2.放物運動教材の工夫(福岡女学院高校 落合さん)
放物運動を視覚的に理解しやすい教材を紹介していただきました。
レールのある高さからビー玉を転がすと、ビー玉が実際に模造紙の放物線の通りに運動することが確認できる教材です。レールには百均で売っている配線カバーを使い、木の板に固定しその裏に磁石をつけることで黒板に貼り付けられるようになっています。
ビー玉の運動が速いため、見る人によってはビー玉の軌跡が本当に模造紙の放物線の通りになっているのかわかりづらいかもしれません。それを補助するものとして、木製の定規にクリップで紐を付けた道具の登場です。紐は長さがすべて計算されており、すべて等間隔に付けられています。定規を水平にすると、先端のクリップはすべて模造紙の放物線上にきます。レールからビー玉を放つとクリップに当たるので、ビー玉が放物線上を運動していることがよくわかります。
写真のように定規を斜めに設定し、レールの向きを調整して定規の方向にビー玉を放つと、この場合もまたビー玉はクリップに当たります。定規を斜めにしてもビー玉はクリップのなす放物線上を運動することがわかります。
先ほど用いたレールの下に別のレールを設置します。上のレールのビー玉は水平投射を、下のレールのビー玉は等速直線運動をします。それぞれのビー玉を同じ高さ分から同時に離すと、水平方向の速度が同じなので直後に互いに衝突・・・するはずですが、実際にやってみるとなかなか上手くいきません。二人同時に手を離すタイミングの難しさやレールの具合、黒板がわずかにカーブしていることなど、様々な要因が考えられます。簡単に成功せず試行錯誤を繰り返すことも、物理実験の醍醐味と言えるでしょう。
おまけ
写真のように篠崎さんがクイズを出題し、それをみんなで考えるという場面もありました。ちなみに、2つの箔検電器をつないだ状態で正の帯電体を近づけたとき、箔検電器の各部分は電気的にどのようになっているかという問題でした。今回参加できなかった皆さん、是非考えてみてください!